シュガーケーンMade in U.S.A.シリーズ、2022年秋の新作アイテム
1930年代後半に、いわゆる「ファーストモデル」と呼ばれる片胸ポケット仕立てのデニムジャケットやシンチバックベルト付きのデニムパンツが誕生し、多くの労働者たちの間で人気のワークウェアとなりました。
1940年代、第2次世界大戦がはじまると米国国内も急激な物資不足に見舞われた。1942年1月、フランクリン・ルーズベルト大統領は戦時生産本部(War Production Board)を発足させ、軍需目的の資材・物資の調達を最優先させ、優先度の低い民間市場向け製品の生産を制限、禁止する大統領命令(いわゆる物資統制令)を下しました。
ワークウェア、ジーンズなどもその例外に漏れず、資源節約の観点から仕様・資材の簡素化を戦時生産本部より迫られ、生地の変更、各部ボタン・リベットの簡略化や省略、各部ディテイルの省略や廃止などの制約を受けることとなりました。
そして誕生したのが、「大戦モデル」と呼ばれるデニムジャケットとデニムパンツ。歴史的に見れば、物資節約のためにスペックダウン(仕様劣化)を迫られたモデルと言えますが、短い期間に作られたという希少性、独特のディテイル、当時熟練度の低い労働者によって作られていたことによる品質のバラツキがあることから、のちのヴィンテージ・デニム市場では人気を博すこととなり、マニアの間ではコレクタブルなアイテムとなっています。
注目のポイント
- ボタン、リベット
まず目に付くのは、コインポケット隅のリベットパーツの省略。フロントポケット隅のリベットパーツもブランド名刻印のない無印タイプを採用。トップボタンも、ブランド名の刻印入り専用品から月桂樹装飾の付く汎用ドーナツボタンへと変更。
- 縫製ステッチ
大戦中、熟練度の低い労働者によって縫製されていた粗いミシンピッチ、ステッチの歪み、糸の末端処理の甘さなどのイレギュラーな仕上がりをあえて再現。
- スレーキ(ポケット裏地)
スレーキは、当時の米国政府より配給されたライトオンス(薄手)のデニム生地を再現。
- デニム生地
生地は、シャトル織機で織り上げられた13オンス右綾織りセルビッジデニム(当モデル向けに織り上げられた専用生地。Lot.SC11937USの生地とは異なります。)
現在では加工してデニム生地に節を作る「ネップヤーン」が主流ですが、1930年代当時の技術に合わせるため、紡績の段階(糸を紡ぐ段階)で調整を行い、通常落とされる綿やゴミをあえて残すことに成功。こちらの紡績による7番手のムラ糸を使用しております。また、経糸のピュアインディゴ染料も、通常濃度を上げた場合に赤みを帯びてくるところを、赤みを抑えつつ特濃色に染め上げて、ヴィンテージデニム生地の色味、風合いを再現することが出来ました。生地特性により、腿から裾に掛けて若干生地の捻れ(斜行)が生じます
- 各部ディテイル
パッチは鹿革製。鹿革パッチにスタンプされたLot.ナンバーの頭にはSimplified(簡略化)を表す頭文字の“S”が付けられております。1930年代のデニムパンツに見られるシンチバックベルト、クロッチリベット(股下リベット)は省略されています。ヒップポケット隅のカンヌキ留め(バータック)も、本縫いへと簡略化。バックヨーク部分も左右ぴったりと重ならず、段差が出来ているのも当時の仕立てをそのまま再現。また、本復刻製品では見ることが出来ないディテイルですが、当時のヴィンテージ実物ではヒップポケットの弓型ステッチは糸を節約するためにペンキで描かれていました。
- フラッシャー
フラッシャーに観られる文字列“FOR THE DURATION”とは「戦争の期間中」という意味で、その間は物資統制による仕様変更を実施している旨が記されています。
- シルエット
股上は深め。シルエットは太め、裾にかけてほとんどテーパードしないストレート。
レングス(股下)は、86〜87㎝前後
Fabric: 13oz SELVEDGE DENIM/Cotton 100% (pure indigo dyed) one washedMade in USA(米国製)